───でも現実は、そんなことできるはずもなかった。
花といると、忘れてしまっていた。
自分には、限られた時間しかないことを。
俺の思いとは裏腹に、花と過ごす時間は長くは続かなかった。
学校を休みがちになり、病状は悪化の一途を辿っていった。
そして、2017年4月31日。
体調がいくらか良くなった俺はふと思い立って、夕方あの丘へ出掛けた。
花と出会った場所。
ここにいると、花を感じられるから。
会いてぇな、花に。
花には、病気のことを話していない。
心配してメールを何通もくれる花に、姿を見せてやりたい。
そして、花の頭を撫でてやるんだ。
〝心配させて悪かった。
ひとりにしてごめんな〟って。
……なんて。
本当は分かってる。
自分の身体のことは、自分が一番───。


