そしてもうひとつは、なにか大きな悲しみを抱えていること。
それに気づいたのは、花がメールを打っているのを見たときだった。
俺より先に丘に来ていた花は、俺が来たことにも気づかずに、感情のない瞳でケータイの画面を見つめ操作していた。
『なにやってんだよ』
声をかけると、ハッと肩を強張らせ顔を上げる花。
なにか悪いことをしていたのを先生に見つかった、そんな反応で。
『あ、蓮、来てたんだ……。
ごめん、気づかなくて』
『質問の答えになってねぇだろ。
なにしてたんだよ』
花のあんな顔、見たことがなかった。
詰め寄ると、躊躇いがちに重い口を開く花。
『メール……打ってた』
『メール?』
『うん。
つらいこととか悲しいこととか、全部メールに書いて、未送信フォルダに閉まっておくの。
ストレス発散みたいな感じで……』
『……ふーん。
じゃあそのメール、俺に送れば?』
『え?』


