キョトンとした瞳と、俺のそれとが初めてまともに交わった。
間も無く、花の瞳がじわじわと潤みを帯びて。
『よ、よかった……。
あなたが、傷ついてなくて、よかった……』
心からの安堵の声を吐きだした。
『は?』
『でも、喧嘩はだめです。
喧嘩なんて、もう、しないでください』
弱々しい声とは相反して、懇願するような強い瞳が、俺を掴んで離さない。
『あなたが傷つくのは、私がいやです……。
震えてる私の手を握りしめてくれる優しい手を、喧嘩なんかで傷つけちゃ、ダメです』
『え?』
花が目を細めて、ふわりと微笑んだ。
『血が苦手なの、気づかれないようにしてたのに、気づいてくれたんですね』
言われて初めて、無意識のうちに花の手を握りしめていたことに気づいた。
慌ててその手を離し、目をそらす。


