『ちょっと、ちょっと待ってくださいね……! 今、手当しますから……っ』 『は?』 俺が怪訝な表情を浮かべると、誤解を解くようにあわあわと手を左右に振った。 『あの、私、小暮花って言います。 怪しい者とかじゃないです! だから、安心してくださいっ……』 小暮、花……。 と、俺はあることに気づいた。 ティッシュを持つ手が震えている。 血を見る瞳が、今にも泣きだしそうなほどに怯えの色で染まっている。 まさか、血が苦手なわけ?