だけど、そんな俺の思いは、数分後呆気なく断たれることになる。
『え? わ、きゃーっ!』
目の前で放たれた叫び声が、俺の目を覚ましたから。
ったくなんだよ、うるせぇな。
眠りを妨げられ苛ついた感情のまま目を開けると、そこには怯えきった表情を浮かべた女が、スクールバックを持つ手を戦慄かせて立っていた。
その制服……同じ高校のやつか?
『あ?』
『ち、血……』
『これは、』
俺が説明する間も無く、ぎゅっと唇を噛みしめたかと思うと、こちらに駆け寄ってきた。
そして、スカートが汚れることも厭わないで俺の前に座り込み、スクールバックからティッシュと絆創膏を取り出す。


