拒否したいと思うのに、こっちを見据える向坂くんの威圧的な瞳に圧されて、私はおずおずと口を開いた。 「れ、蓮……」 たった二文字が恥ずかしくて、照れ臭くて。 そしてそのたった二文字に、蓮は嬉しそうに耳を傾ける。 「声、ちっせぇ。 もう一回」 聞こえてたくせに、意地悪。 「蓮……」 「花」 私の呼びかけに答えるように、蓮が私の名前を呼んだ。 今まで以上に優しくて、たくさんの思いが込められたような、そんな声だった。