シノくんの声が、ガランとした教室に響き渡る。 話を聞いている間、片時も蓮の姿が頭を離れなかった。 出会って間もない頃の、蓮との会話が頭の中で再生される。 『じゃあ、どうやって未来から来たの……?』 『過去に戻れるように強く願ったら』 『どうして過去に戻ろうとしたの……?』 『なんでそんなことまで、いちいち花に話さなくちゃいけねぇんだよ』 そして気づけば、蓮がひとりで背負っていた悲しい秘密が、私の頬を濡らしていた。