早足で歩いてきたため、息を切らして辿り着いた校門前。



だけど、いつもいるはずのその場所に、やっぱり花ちゃんの姿はなかった。



プラネタリウムに向かったのだとしたら、閉館だということを知って、家に戻ってくれればいいんだけど……。



でも、花ちゃんの家の場所は知らないし、ケータイも繋がらない。



今すぐにでも花ちゃんがどこにいるのか確かめたいのに、なす術もなくて。



ちっとも動かないケータイを握りしめ、途方にくれていたそのとき。



「ひゃーっ!
蓮からありがとうなんて、中学からの付き合いで初めて言われたんだけど!
明日雪降るんじゃない!?
ねぇ、シノ!」



「ふふ」



「うっせーな、ひかる。
たまにはいいだろ。
俺だって、感謝くらいするから」



校庭の方から聞こえてきた、数人の声。



その中の聞き覚えのある声と名前に、条件反射のようにそちらを向いた。



と、校門から出てきた3人組のうち、ポケットに手を突っ込みながら歩いてきたひとりと目が合った。



「……あ」



「蓮くん」



それは、蓮くんで。