と、そのとき。
「お待たせ、花ちゃん」
穏やかな声がして振り返ると、
「あっ、コウくん……!」
コウくんが少し先に立ち、手を振っていた。
「じゃ、邪魔者は退散するか」
コウくんの姿を見るなり、ボソッとそう言う蓮。
……え?
反射的に蓮を見上げようとするより早く、
「ありがたく貰っとくな、友チョコ」
私の背後に立っていた蓮が、チョコが入った箱をカタカタと振りながら、コウくんにも聞こえるくらい大きな声でそう言った。
そして、
「行けよ、あいつんとこ」
小さく耳打ちして、トン…と背中を押された。
「……っ」
バッと振り返ると、蓮が目を細めて柔く微笑んでいて。
「じゃあな、花」
そして、私になにも言わせないまま、踵を返して歩いて行ってしまう。
〝またね〟って、言わせてもらえなかった……。


