◇ ° ◇ コウくんは、変わっていなかった。 まわりを包み込む優しい雰囲気も、知的な瞳も。 変わったといえば、見た目だけ。 中学の頃は5センチほどしか変わらなかった背も、今はもう見上げるほどに高くなって、顔立ちも大人びた。 「花ちゃん」 優しく懐かしい声で、コウくんが私の名前を呼んだ。 また、名前を呼んでもらえる日が来るなんて……。 すべてを実感した途端に、じわっと熱くなる目頭。