「気をつけて帰れよ」 観覧車から降りて、蓮がくれたのはその言葉だけだった。 こちらを振り返りもせずに歩いていく蓮の背中を追いかける勇気を、私は持っていなかった。 蓮は行ってしまった。 宙ぶらりんの心ごと、私を取り残して。 ひとりでとぼとぼと歩いていると、公園の入退場ゲートに差し掛かった。 この線を越えたとき、あんなに楽しかった。 だけど、この線を出るとき、こんなにも心が寂しさに枯れようとしているなんて、思いもしなかった。