【完】365日、君をずっと想うから。



数十秒くらい通話をしていたかと思うと、スマホをポケットにしまいながら、こちらを振り返った。



「ダチに教科書貸すの忘れてたから、ちょっと学校行ってくる」



「え?」



「すぐ戻ってくるから、ここにいろよ。
いいか、動くんじゃねぇからな?」



勝手に話をつけて、学校へと今来た道を駆けだす向坂くん。



「え、ま、待って……!」



呼び止める声が、届くはずもなく。



歩道のど真ん中、ひとり立ち尽くす私。



も、もう……!

さっきから強引なことばっかり。



結局、一緒に帰ろうって誘った理由を聞き出せないまま。



待ってろ、って何分くらい待ってればいいの?



はぁ……と溜め息を吐き出した。



向坂くんに振り回されっぱなしだ。