……だけど。
メールに書かれている内容は、想像とほぼ180度違った。
〔命令、一緒に帰るぞ〕
んんん?
一緒に帰る?
私と向坂くんが?
なんで、いきなり……?
恐喝や万引きなんかよりは断然マシだけど、これらこれでいやだよ……!
だって、あんな怖い人とふたりきりになるなんて、ちょっと……。
どう返信するか逡巡してスマホを握りしめていると、再び手の中でスマホが揺れた。
〔今すぐ校門前に来い。
待たせんな〕
文字の並びが、なんだか、こ、こわい……!
脅しにかかってるよね、これ!
迷ってるのがバレた!?
そうだ、私に悩む権利なんて最初からなかったんだ。
無視でもしたらどんなことになるか……!
最悪の事態を想像し恐怖におののいた私は、スクールバッグを肩にかけ、校門へと全速力で走った。