「花は家族の前に出ると、声が出なくなるんです。
それだけ、あなた達が作り上げた劣等感に苦しんでる。
そのことを家族に打ち明けられないで……」
「─── いい加減にしないか」
蓮の言葉を遮るように、お父さんの声が重なった。
怒りを抑えきれていないその声に、思わずビクッと肩が揺れる。
「ベラベラと勝手なことを。
そんなチャラチャラした格好して、なにが目的だ?
なにを企んでいるんだ?
毎日毎日押しかけてきて、私達は君みたいに暇じゃないんだよ。
まさか、私達家族に恨みでも持ってるんじゃないだろうな」
まるで自分に投げかけられた槍のように、お父さんの言葉が胸に突き刺さる。
やめて、やめて、やめて ─── ……
もう、我慢の限界だった。
……バンッッ
私は気づけば、勢いに任せてリビングのドアを開けていた。


