取り返そうと手を伸ばすけど、あっさりかわされる。 そして、あろうことか私の手はいとも簡単に向坂くんの手に捕まってしまった。 ずいっと顔を近づけ、余裕げに口の端を上げる向坂くん。 あまりの至近距離に、不覚にも心臓が反応する。 「ふっ、俺に敵うわけねーじゃん」 「なっ……」 「花、よく聞け。 このラブレターを学校に貼りだされたくなかったら、俺の言うことをなんでも聞くこと。 これは契約だ。 このラブレターを外部に漏らさない代わりに、花は俺の言いなりになる」 なに言ってるの、この人……!