【完】365日、君をずっと想うから。









坂を下りたところにあるベンチに座り、蓮を待つ。



蓮にこの前のことを聞かれたら、すべてを話そう。

そう決心しながら。



蓮をあんなふうに傷つけてしまった以上、なかったことになんてできない。



だれかに話すのは初めてだから、とても勇気がいるけど……。



でも、蓮だから。

蓮だから、大丈夫。



蓮の顔が浮かんで、またなぜか涙腺が緩みそうになって、手の中にあったケータイをぎゅっと握りしめたとき。



「花」



そう呼ぶ声が聞こえて、私は顔を上げた。



「蓮……っ」



蓮が、目の前に立っている。



来てくれたことと蓮の名前を呼べたことに安堵しながらも、私はあることに気づき、浮かせていた腰を止めた。



あれ?

なんか、蓮……怒ってる?



そう思ったのも束の間、おでこに怒りマークをつけたまま、ずんずんと蓮がこちらに歩いてきたと思ったら、直後コツンッとげんこつが降ってきた。



その反動で再びベンチに座りこむ。