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「やっふーい!
夏休みだーーっ!」



嬉しそうに目をキラキラさせて、両手を高くつきあげるひかるちゃん。



今日は1学期の終業式。



さっきのHRで通信表が渡され、1学期最後の放課後を迎えていた。



私とひかるちゃんは、クラスメイトのいなくなってきた教室で前後の席に座り、お喋りに花を咲かせる。



「ひかるちゃん、嬉しそうだね」



「もちろん!
だって、大嫌いな授業から解放されるんだもーん!」



だけど、ハッとなにかに気づいたように一瞬にしてその笑顔が消え、上括弧を描いていた眉がたちまちにして下括弧になった。



「でも……夏休みは学校がないから、花ちんと会えない……」



「夏休みも遊ぼう?
私、ひかるちゃんと遊びたい!」



励ますように笑顔を向けると、ひかるちゃんの顔に満面の笑みが広がった。



「うん!!」



でも、嬉しいのは私もだよ、ひかるちゃん。



だって、図書館に通いつめるはずだった夏休みに、友達との予定が入るんだから。