あ、でも……
蓮、ポケットに入れてこれを持ち歩いていたかも。
なんとなく見た覚えがあるのは、きっとそのせいだ。
蓮がなにかを手に乗せ見つめていたのを、見かけたことがある。
それはきっと、この懐中時計だったんだ。
吸い寄せられるように懐中時計を見つめていると、ふいに蓮の声が耳に飛び込んできた。
「そーいや、今日って七夕か」
「あっ、そうだ!」
蓮の懐中時計を元の位置に戻し、蓮の視線の先にある、壁に掛けられたカレンダーを、私も目で追う。
すっかり忘れてたけど、今日は7月7日。
七夕だ。
蓮が言わなかったら、きっと全然気づかなかった。
「天の川、見られるかなぁ」
「ベランダ出てみるか」
「うん!」
立ち上がった蓮の後を追い、私はベランダに向かった。
もう7時。
薄暗くなってきて、夜空も綺麗に見られるかな?


