「今までずっと、この景色が嫌いだった」
遠くを見つめるキョウヤの瞳には、街のキラキラとした光が反射している。
「遠くから見たら綺麗なのに、近くにいくとただの汚い世界だ」
確かにそうなのかもしれない。
遠くからみるとキラキラと美しく光って見えるけれど、
それは例えば家の光だったり、車のライトだったり飲食店の電気だったり。
それはきっと近づいてみないと分からない。
「こんな裏の世界に生きてるのが嫌だった。ずっと生まれた時から決められた道にいる自分が嫌いだった」
生まれた瞬間から如月組の若頭になると決まっていたキョウヤの人生。
決められたレールの上を歩いてきたキョウヤの毎日。
「こんなくだらねェ人生なんて、なくなっちまえば良いのにって何度も思った」
「…キョウヤ」
「でもそれがお前に会って少しずつ変わった。毎日が楽しいと思えた。初めて次の日が待ち遠しいと思った」
そんな風に思ってくれてたなんて…
「でも俺はあの瞬間如月組の若頭としての道を選んだ…一時でもお前を手放した。そしてお前を傷付けた…離さないって約束したのにな」
遠くを見ていた視線からその瞳に私を移す。
「うぅん、もう良いんだって」
キョウヤが謝る必要なんてない。
だってキョウヤが悪いわけじゃない。
キョウヤは周りの人のために、たくさん色々な事を考えてあの決断をしたんだ。
そんなキョウヤの事を私は誇りだとさえ思う。
だから誰が悪いとか、誰のせいとか…そんなのない。
今こうして隣にいられるなら、私はそれで十分だ。



