その瞬間、我慢していた涙が驚くほど溢れ出てきた。




もう…ダメなのかもしれない…

私の気持ちはキョウヤには届かないのかもしれない…





強く腕を掴まれ、どんどん涙で歪んでいく視界。






「離せ」





そう頭上から低い声が降ってきたかと思うと、グイッと引き寄せられた身体。




「しかし、若!」





「聞こえなかったのか。コイツに触るな」





その恐ろしく冷たい地をはうような声に、私の右腕を掴んでいた護衛が一歩後ろへと下がった。






「…キョウ…ヤ」





潤んだ視界に映るのは紛れもなくキョウヤ。

私の腕を掴んだキョウヤの姿。





そしてその表情はどこか困ったように眉を歪ませ私を見下ろしている。





「…ナオ」




久々に呼ばれたその名前に、思わずブワっと涙が溢れ出して






「…うぅっ…キョウ…ヤぁ」




もう無理だと思ってた…私を一生見てはくれないんだと思ってた。




でもキョウヤは私の瞳に手を添えるとそっと涙を拭ってくれる。





「泣かせてごめんな…」




「…うぅん、そんなの…良いの。キョウヤの側にいられるなら…」





「…ナオ」