何だコレ。



こっちも見てくれない…一瞬も見てくれない。




それどころか耳も傾けてくれないなんて…





「キョウヤ!!」





何処かで何かが吹っ切れたような気がした。


自分の気持ちを言わず後悔するくらいなら、思い切り感情をぶちまけようと。





もう全てをさらけ出してしまおうと。






「何があったのか全部聞いた!キョウヤの考えも聞いたよ!!でも…だからって何で勝手に私の隣からいなくなるの!何で何も言わず離れていくの!!…私に何かあったら飛んで来てくれるんじゃないの?守ってくれるんじゃないの?側にいてくれるんじゃないの?」





キョウヤに向かって大きな声を出しながらその背中を睨み付けると、キョウヤの護衛が私を取り押さえるようにして腕を掴む。




それをさかさずチヒロさんとケイゴがかばってくれるけれど、この私の叫び声に異変を察したのか組の中からどんどん人が出てくる。





「私はキョウヤが好きだよ。どんな事があっても好き!ずっと好き!!だからお願い!私と一緒にいてよ!隣にいて!ずっと側にいて!!」





両腕を掴まれながらも必死にキョウヤの背中に向かって叫ぶ





「ねぇキョウヤ!こっち見てよ!お願いだから!!お願いだからこっち見て!私を見てよ!!」





「君!やめなさい!」護衛の一人にそう言われて、掴まれている手がどんどん痛んでいく。





どうして届かないの…




こんなにも近くにいるのに…





どうして…




どうして私を見てくれないの…





「……言ったじゃない…」






喉から血の味がする。




きっと叫びすぎておかしくなったのかもしれない。





「…キョウヤ、あの時言ったじゃない…」





でももう声が出なくなったっていい。話せなくなったっていい。





「……もう離さないって言ったじゃん!!だったら最後まで離すなよ!!!」