ケイゴはその後ソウに詳しい事を説明することはなくて「じゃあ頼むな」と言うとさっさと家の中へ戻って行ってしまった。
道路の反対車線に止められたシルバーの車までソウに背中を押され歩く。
後部座席に座るど、そのままソウも隣に乗り込んで来た。
運転席には何度か見たことのある運転手さん。
「おい、どうしたんだよ」
何にも言葉を発しない私にソウは心配そうに顔を覗きこんでくる。
「何でもない」
「何でもないわけ無いだろ」
鼻水をすすりながらソウとは反対側に顔を向けると少し怒ったような声を出される。
「そんなに泣いてるなんておかしいだろ。何があったんだよ」
「何でもないんだってば…もう…いいの…」
「良いって何だよ」
少し声を荒げるソウに、心がズタボロな私にはその声が何だか少し強く聞こえて
「…うぅっ…何でもないってばぁ…」
簡単に涙があふれ出してくる。
この時初めて知った。
涙とはこんなにも簡単に出てくるものだと言う事を。
泣くという事はこんなにも疲れるという事を。
「…何で…何で怒るのさぁッ…」
ソウが来たことへの安心感でか…もう訳の分からない私は、ソウの胸板をペシンッと叩いて泣き出す始末。完全なる八つ当たりだ。
そんな私を見かねたソウは、もう理由を聞いても仕方ないと思ったのか「ごめん、ごめん…」と呟きながら私を胸の中に閉じ込めた。



