WOLF-孤独のその先-




「頭が倒れたと言う事は、何を意味しているかお前は分かるか」




そこから始まったケイゴのお父様の話は、まるで語りかけるように…そしてゆっくりと話し始めた。





「いつ目が覚めるかもわからない、どうなるかも分からない。今現時点で如月組のトップは若だ。つまり若の背中には何百…いや何千もの人の生活がかかってるんだよ。」






キョウヤに何千人もの生活がかかってる…





「うちの組だけじゃない、その傘下から何から…そして華月グループもだ。しかも華月グループが拡大しだした今、裏である如月組も同じく拡大しないと形成が取れなくなる。そうなるといくら若が凄くても若だけの力じゃ到底足りない。若頭という立場のままじゃまだまだ力不足なんだ…」





やはりキョウヤの生きてきた世界は、私なんかが想像出来るような簡単な世界じゃないんだと…そう思わされる。





「その子が若にとってとても大切な事は分る。確かに最近の若は何処か今までと違って見えたからな。だからこそケイゴ、お前なら分かるだろう…若がどんな気持ちでその子を手放し今の道を選んだのか。若にどれほどの覚悟と決意があるのか。」





胸が痛かった。




何も知らない自分を恥じた。





キョウヤの苦しみを理解出来ていなかった自分が嫌になった。





「…ケイゴ、もう行こう」





隣で黙ったままお父様を睨みつけているケイゴの腕を引っ張る。




「…ナオ」




「私のワガママで…崩せるような簡単な事じゃない」




「でもよ…」




これはキョウヤの意思なんだ。

キョウヤの若頭としての大事な事なんだ…





「良いの…仕方ない事だってある…」