「とりあえず、車戻るぞ」
そう言って私から身体を離したケイゴは、ふらふらとしている私の手を握って歩き出す。
その時見えた視界の中に、もうキョウヤの姿はなくて…
さっきの光景をまた見ずにすんで良かったという思いと、あの女の人とキョウヤが一緒に行ってしまった事への嫉妬心で…また涙が出た。
そんな私とケイゴを周りの人達は何があったんだとチラチラ見て来ていたけど、そんなのも気にならないくらい私は涙を流した。
きっとこんなに泣いた事は今までないと思う…きっとこの先も…。
先ほど停めた駐車場に着くと、ケイゴが助手席の扉を開けて私を座らせシートベルトを付けてくれる。
もしも…もしもケイゴがいないで一人あの光景を見ていたらと思うとゾッとする。
私はどうなっていただろう…
どうにかなってしまっていたかもしれない…
ケイゴがいてくれて本当に良かった。
ケイゴにはいつも迷惑ばかりかけてるな…
心はズタボロなはずなのに、そんな事を考える余裕が出来たのも、きっと隣にいてくれるケイゴのおかげかもしれない。



