しばらくして早足で旅館から出てきたキョウヤとチヒロさんの表情はやっぱり険しくて、運転席にケイゴが乗ると車はゆっくりと走り出した。
夜中なだけあって、大通りに出てきても車はほとんどいなくて、運送用の車がチラホラ見えるだけ。
そのおかげでもちろん混むなんて事はなく、スムーズに走行しているはずなのに…どうしてこんな時って時間が経つのがもの凄く遅く感じるんだろう…
通常よりも何倍ものスピードで何倍も早く進んでいるはずなのに。
そして車内に広がる重苦しい雰囲気は、誰も一言も話す事なく
「着いた」
そのケイゴの声でリセットされた。
1時間もしないうちに着いた先は、うちからは少し離れた大きな総合病院。
この辺りでは一番の有名病院で、色々な検査や医療器具などか揃っている事で有名だ。
「ナオ、お前はケイに送ってもらえ」
「うん、分かった」
「ケイ、お前も今日は帰っていい」
「了解」
外から後部座席を覗き込むようにして屈んでいるキョウヤに小さく手を振ると、そのままバタンと音を上げ車のドアが閉められた。



