着替えたり荷物をまとめた所でちょうどチヒロさんが部屋に来て何やらキョウヤと話し出す。
「ナオ、先にケイと車に行っててくれ」
「うん」
キョウヤにそう言われ、ボストンバッグを抱えて廊下へ出ると私服に着替えたケイゴが壁にもたれながら待っていて
「先に行ってろってさ」
私の言葉に対してケイゴの返事はなく、この重くるし雰囲気が事の重大さを表している。
旅館の外に出ると辺りはまだ真っ暗で、外に備え付けられたオシャレなランプだけが薄暗く照らしていた。
「ケイゴ…」
スタスタと早足で歩いて行ってしまうケイゴの背中に向かってポツリと声を出す
「何だよ」
そのケイゴの声はどこかイラ付いて聞こえて、何だか不安な気持ちが加速する。
会った事もない人なのに、どんな人かも知らないのに。
でも頭と呼ばれるその人は、間違いなくキョウヤに凄く近しい人物で最も関わりのある人だって事は分かる。
「その人大丈夫なの…?」
思わず出たその言葉に「お前に関係ないだろ」とでも言われると思っていたはずの言葉は返って来なくて
「分かんねェ。まだ意識が戻らないらしい」
「…そう…なんだ」
「きっとしばらくキョウはバタバタする事になるだろうから、お前もそのつもりでいとけ」
いつになく真剣にそう言われケイゴの目を見てコクリと頷く。



