「何か言ったか?」
スゴむ声は誰にも真似できないほど低くて、そして有無を言わせない雰囲気を漂わせる。
「何にも言ってないよ!ね、ケイゴ」
「何で俺に効くんだよ」
「え?だってほら、目の前にいるから」
「は?意味わかんねェ。馬鹿か」
いやいや、何でここで馬鹿かなんて言われないといけないの。そもそも絶対ケイゴの方が馬鹿な感じするし。
「そういえば、ケイが普通に話してる女の子って珍しいよな」
チヒロさんがグラスをテーブルに置きながら、何か思い出したようにそんな事を言ってくる。
「そうなの?」
「別に」
ケイゴのタイプ的に誰にでも分け隔てなく接しそうな気がするのに。
「ケイは鬼畜中の鬼畜だもんな」
鬼畜?どういう事?
「は?チヒロに言われたくねェ!」
「いやいや、さすがにお前には負けるから!」
「だったらキョウもそうだろうが!」
そこまでケイゴが言って、すぐさま「ヤバ!」という顔付きになる。
そして私の隣からは大きな舌打ちが落ちてきた。



