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「うわぁ、予想より混んでるね」




「ねぇねぇ!お饅頭食べようよ!ほら、あそこに売ってる」





「お前は本当、色気のねェ女だな」





「どれが良いんだ?買ってやる」





五月に入りゴールデンウイーク1日目、私とキョウヤそしてチヒロさん、おまけにケイゴは温泉地に旅行に来ていた。





それはさかのぼる事数週間前。




私の誕生日である4月10日にキョウヤが仕事で忙しすぎて会えなかった事から始まった。




別に私にとって誕生日なんて本当ただの平日と変わらないようなもので対して気にしていなかったんだけど、





キョウヤはどうやら気にしてくれていたらしく、私の誕生日祝いを出来ないことにかなり落ち込んでいた。





キョウヤが落ち込んでいるなんて、きっと普段は想像も付かないような事なんだけど、この時のキョウヤは本当に落ち込んでいて…驚くほどしばらくずっとテンションが下がっていて




仕事が休めないことに対してチヒロさんやケイゴにヒドイ八つ当たりをしてたくらいだ。





プレゼントに可愛い時計をもらって私的にはすごくすごく嬉しくて、これ以上ないくらい嬉しくて大満足だったのに、キョウヤは全く満足してないみたいで「本当に気にしないで」って言ったら「気にする」と言ってやっぱり落ち込んでいた。




私のキョウヤへの誕生日プレゼントなんて手作りケーキだけだったのに。





まさかキョウヤがそんなイベント事に力を入れるタイプだとは思ってなかったから。むしろスルーしそうなタイプだとさえ思ってたから正直驚きで、そしたら「お前のためなら、何だってしてやりてェんだよ」なんて耳元で言われて思わず気絶しそうになった。