さらに苛立ったように髪をかきあげるソウは、未だに扉付近で立たずんでいる私にソファーへ座るように言ってくる。
言われたとうり紺色のソファーに座ると、立っていたソウは少し離れたところにあった冷蔵庫からミネラルウオーターを取り出して私の前へと置いた。
これでも飲んで頭を冷やせって事なのか……
でも私の頭ならとうに冷めている。
というより元から正気だ。
「特にあの人は別格だ。関東じゃダントツな権力者だ」
そう…なんだ…
「でもキョウヤはキョウヤだよ。凄く優しくしてくれる」
いつも優しくて私を温かく包み込んでくれるキョウヤ。
ソウが心配してくれてるのは分かるけど、ソウはキョウヤの普段を知らないから…
「じゃあヤクザがどんな仕事してるのか知ってんのかよ、あの人が毎日どんな世界で生きてるのか見た事あるのか」
「それは…ないけど」
「残酷でいて卑劣、平気で人を傷付ける。俺達暴走族がやってる事なんて比べ物にならないくらい冷たくて暗い世界だ」



