聞こえてきたのは目の前のカウンター席から
すこぶる機嫌の悪い声。
キョウヤのものすごく機嫌の悪そうな声
ん?どうしたの?と言わんばかりにキョトンとする私とチヒロさんに対して、やっぱりキョウヤは不機嫌そうな声を出すと
「近けェ」
近い?
鋭い視線を私とチヒロさんに向けた。
「近けェだろ」
あぁ、なるほどそういうことか
今の体制は、私の後ろからチヒロさんが私の手を握ってカクテルの作り方を教えてくれている所だ。
キョウヤはどうやらこの私達の距離が近いと言っているらしい
でもそんな事言ったって
「教えてもらってるんだから仕方なくない?」
別にやましい事をしてるわけでもなければ、チヒロさんは私に分かりやすく教えてくれているだけだ。
「そこまで近づく必要ねェだろ」
キョウヤは一体どうしたと言うんだ、何をいきなりそんな事気にしてるんだろうか。
「もう うるさいなぁ、キョウヤは静かに待ってて」
そう言った私に後ろのチヒロさんはぶっと吹き出すように笑うと
目の前のキョウヤはチヒロさんを凄い視線で睨みながらチッと舌打ちを落とす