それは決して悪い意味なんかじゃなかった。




ただ、こっちを見つめている瞳が


私を見るグレーの瞳が





あまりに綺麗で




いつか見た本に写っていた“狼”そのもののようで、気が付くとそう口にしていた。



だけどそれは、目の前のこの人からしたら迷惑極まりない発言だったようで片眉を少し歪める。




「あ、別にこれって悪口とかじゃないです」




そう言った私に、キョウヤという男はとくに興味をなくしたのかどうでもよさそうに私に背を向けると、そのまま大通りを歩き出すもんだから、とりあえずその背中に向かって「ぶつかってごめんなさい」とだけ言って私もその場を後にした