「あ、ありがとう」
「クッキー美味かったし、そのお礼」
「べつにそんなの良かったのに」
ホント、こういうとこは律儀なんだから。
「なんか目赤いけど、泣いた?」
ーーギクッ
「な、泣いてないよ」
「今日元気ないっつーか、朝から変だし。なんかあったのか?」
虎ちゃんは意外と鋭くて、いつも私の些細な変化に気づいてくれる。
でも今は誰にもバレたくない。
「なんでもないよ。ただ寝不足なだけだから」
「ならいいけど」
虎ちゃんは私の隣に座ると、持っていたコンビニの袋をガサゴソと漁った。
そして、パンを出して食べ始める。
成長期でお腹が空くからなのか、お弁当は2時間目が終わった後の休み時間に食べ終えてしまったらしい。
「このパンうまっ!咲彩も一口食う?」
カレーパンが虎ちゃんの最近のマイブームで、色んなお店のを食べ比べしてるんだとか。
ホント、マイペースだよな。
私はそんな虎ちゃんに首を横に振って返事をした。
「虎ちゃんって、悩みとかなさそうだよね」
はぁと盛大にため息を吐いた。
常にゴーイングマイウェイだし、自由だし。
虎ちゃんを見てると、悩んでる自分がバカみたいに思える。
「それって褒め言葉?」
「え?いや、どうだろ」
どちらかといえば、失礼にあたる言葉じゃないかな。
能天気って意味だし。



