車を走らせること15分



「あ、ゆぅ!」



約束していた"いつものところ"、洒落たバーに電話相手の女がいた




女は俺を見ると駆け寄ってきてしがみつくように腕を絡めた




「今日もアレ飲むのか?」



「うん。あのカクテル好きだから、飲みたいの。」



俺らはカウンターに座り注文をした



「いつもの。」



「かしこまりました。」



そう言うとバーテンダーは手際良くカクテルを作り始めた



「ねぇ、ゆぅは私のこと好き?」



「なんだいきなり」



「ううん。何もー、聞きたかったから」



「明美、何度も飽きるほど言ってるだろ?俺は、」



プルルルルル



言いかけたところでタイミング悪く電話が鳴った




「あ?誰からなんだ?…っち、港からかよ。」



女、明美は嫌そうな顔せずに「出ていいよ」と言った


俺は頷き電話に出た



「おい、なんの用だ?」



『若、仕事が入りました。』



「…分かった。」



『迎えに行くので場所はいつものバーでいいですか?』



「あぁ、そうしてくれ。」



『では、また後ほど。』



ピッと通話を切った



「明美、仕事が入ったから行ってくるな帰りはこれでタクシー拾って帰れ」



財布から出した1万を明美に渡した



「うん。分かったー。頑張ってねー。」



「あぁ。」



俺はすぐさまバーの外に出て港の迎えを待った