瞼を灼く光の眩しさに、私はゆっくりと目を開けた。



紺色のカーテンの隙間から洩れてくる、真っ白な朝の陽射し。


二回瞬きをして、私は顔を横に向けた。



そこには、裸のままシーツにくるまる愛しい背中。



私はベッドを軋ませないように静かに起きあがり、こっそり覗きこむ。


冷たいほどに整ったきれいな横顔。


朝の光を浴びた彼は、まるでそのまま光に溶けて消えてしまいそうに見えた。



私はベッドから降りて、足音を忍ばせて窓の前まで行き、カーテンを閉めて光を遮る。


部屋のなかに暗闇が戻ってきた。


こうやって、いつまでも夜の檻の中に閉じ込めておけば、彼がずっとここにいてくれるような気がした。



私はベッドに戻り、そっと腰を下ろす。



愛しい背中に指を這わせる。


右の肩甲骨のあたりには、皮膚がわずかに盛り上がり、ひきつれたように細長く歪んでいる部分がある。



これは、傷痕。


私の大切な傷痕。



彼が眠り込んでいるのをいいことに、私はその背中に唇を寄せる。


そして、傷痕にキスをする。



ああ、なんてあまい、あまい傷痕なんだろう―――。