休日、私たちはバイエルンまで出かけた。

「ここはロマンチック街道の終点なんだ。」

「結構遠かったね。」

「でしょう。さあ、馬車に乗ろうか?」

「素敵!馬車に乗るのは初めてなの!あ、お城が見えるのね!」

「バスで登るよりいいだろう?」

長い道のりをのろのろした馬車に揺られ、私たちはお城に着いた。

「あれ、なんだかイメージと違うね。」

「だから言っただろう?」

「真っ白なお城かと思っていたのに…。」

どんよりとした雲に覆われた空に、灰色の壁が見える。

「ここはね、歴史や芸術価値のあるお城じゃなく、ある王の趣味で造られたんだ。」

「でも、日本では人気の観光スポットよ?」

「ははは、彼はね、中世騎士道に憧れすぎて、自分のファンタジーを具現化するために舞台美術家に頼んでこのお城をデザインしてもらったんだ。」

「変わった人ね。」

「そう、さらに、ワーグナーの音楽に陶酔していてね、オペラに出てくるたくさんのモチーフが壁に描かれているんだ。あとー、洞窟があったり…。」

「洞窟?楽しみ!」

「それは良かった…。」

「ねえ、ここはイマイチだけど、マリエン橋から見たお城が一番綺麗なんでしょう?」

「それは、中を見学した後でね。」

冬だからか、ツアーはあまり混み合っていなくて、じっくり見学できた。

「さあ!橋に行きましょう!」

そちらの道に進むと、看板あって、ニコラスがこう言った。

「残念だけど、冬季は閉鎖されているみたいだね。」