なんだか、上手くやっていける気がしないー。私はそう思いながら、メンバー表を確認しに行った。オーボエ第一奏者、え?私の名前じゃない?

慌てて楽譜を確認すると、確かにそこには第一奏者の楽譜があった。

第一奏者が二人いる!

「おはよう、みんな!今日からよろしくね!」

指揮者がホールに入ってきた。彼に聞くべきか…それとも、関係者を探すべきか?
私は迷った末、譜面台を用意しているおじさんに聞いてみた。

「あのー、オーボエは第一奏者が二人なんですか?」

「そう!第二奏者も二人いるんだ!だから、ソロパートは二人で手分けしてやってね。」

「はい…。」

「あなた、もう一人の第一奏者?私、ステファニー!よろしくね!」

「私、奏美。よろしくね。」

「私、去年も参加したの!今年の学生の半分はそうね!」

「そうなの、だからみんな仲が良さそうなのね。」

「そうそう、みんな同郷みたいな!」

始まって1日目で、もうすでにグループができていた。しかし、フレンドリーなお国柄のせいか、声をかけてくれる人は多い。

「私、フルートのエイミー。あなたは中国人?」

「いいえ、日本人よ。奏美です。」

「そうだったの!日本人なんて珍しいね!この世界には中国人と韓国人が多いから!」

確かにそうだ。名前を見ても、このオーケストラにいる日本人は私だけ。

「オーボエは始めて何年?」

「3年よ。」

「えー!私なんて9年フルートやってて、やっとここまで来たのに、3年?びっくりだわ!」

「才能があるんじゃない?」

隣のフルートの子も会話に加わった。

「そんなことないよ…。」

「信じられない!」

日本では、中学校ではじめた楽器で音楽に行く人もいるけれどー。

そんなことは言わなかった。

「みんな、集まって!練習はしてきてるよね?まず、合わせてみようか!」

指揮者は若くて威勢が良い。

「1、2、3!」

その日の練習はひどく大変だった。みんな、本当に練習してきたのかと疑いたくなるほどの演奏で、仕舞いには指揮者が怒って出て行ってしまった。

なんて短気な人だろう…学生相手に…。誰もがそう思ったに違いない。

私は帰宅してから練習を始めた。ジョッシュは正しかった。復習と予習なしにはやっていけない。

「奏美!いつまで吹くつもり?」

ママが音に嫌気をさして、キッチンから叫んでいる。

「もう少しだけ!」

このパッセージが終わったらやめよう。