雨恋~芸能人の君に恋して~




テレビをつけたまま、ソファーに寝ころんで、瞼を閉じる。



頭の中に描くのは、鮮やかな色彩の中、儚く微笑む優紀君の姿。



寂しくて、胸が苦しい。



ここにはいない優紀君を求めるように、空に向かって手を伸ばした。






クリスマスが近づく頃、優紀君から電話があった。



『ごめん』



通話ボタンを押した瞬間に、聞こえる声。



『クリスマス、ヨーロッパに行くことになった』



申し訳なさそうな声。



年末のスペシャル番組のドキュメンタリー企画で、優紀君はヨーロッパを巡る旅をするらしい。



クリスマス、少しくらいは会えるかな?



なんて勝手に期待してた私は、胸がギュッと締め付けられる。



けど優紀君を困らせちゃいけないって思って、精一杯、明るい声を出した。



「ヨーロッパ、いいなー。楽しんできてね」



少しの沈黙の後、不機嫌そうな優紀君の声が聞こえた。



『楽しむって、俺、仕事で行くんだけど』