ただ、あの雨の中、泣いてる彼に何もしてあげられなかったから。だから今も気になってるだけ。 そう思うのに。 うるさい胸の鼓動は、彼が好きって訴えかけるみたいに鳴り止まない。 「好きじゃない」 昔の自分ならともかく。今の私と優紀君とじゃ、住む世界が違いすぎる。 手を伸ばしても、届かない人。 好きになっても、自分が傷つくだけだから。 「うるさい。心臓、静まれ」 彼を好きじゃないって、自分に言い聞かせてた。