お父様は嫌だけど、お屋敷の人たちは大好きだ。

「いつもありがとう、中堂さん」

「急にどうなさいました、お嬢様」

わたしのお礼の言葉に、中堂さんは当たり前です、とやっぱりにこにこ笑うのだった。

中堂さんの口元と目尻がくしゃりとして、シワを深くしていた。
優しい笑いじわで、この表情、好きだなって思う。
孫想いなおじいちゃんって感じ。

そういえばお父様の笑った顔は、何年も見てないな……。
いつも怖い顔をして、笑いじわなんてなさそうだ。

「そうだ、お嬢様!

今日はお嬢様のお友達が来られるとのことで、シェフも使用人も張り切っていましたよ?
なんでも、楽しいお泊まり会を企画するんだとか何とか」

「ええっ?!」