「茉優?どうしたの??無理だったいいんだけど…。もしかして、茉優も晃チャン好きだとか?」
くっきり二重の、大きな優梨の瞳があたしの変な顔をうつしてる。
あぁ、そうだ。
優梨のお願いを断れなくなったんじゃない。
優梨は今まで、お願いをしてこなかったんだ。
なんでもあたしに譲ってくれていたし、喧嘩なんかしたことがない。
その優梨が、晃チャンと付き合いたいのなら応援するしかないんだ。
「…、違うよ!あたし、今から言ってくるね」
必死に笑顔を作って、あたしは優梨の部屋のドアをバタンと閉めて、家を飛び出した。
向かう先は、近くの晃チャンの家。
――ピンポーン
久しぶりに来たけど、変わらないチャイムの音。