俺が言い終わると、「うわー」という歓声が少しだけ聞こえ、パチパチと拍手がまばらに叩かれた。

 反応が寂しいのは、俺とふゆみのあれやこれやを知らない、川田たち3人だけだからで、それを知ってる後の5人は、みんなシラーっとしていた。

「もう、裕くんたら、子どもみたい」

 眼鏡を外したふゆみが、座った俺の頭に手をやり、カツラで押さえられてた髪を、手櫛で直してくれながら言った。

「あんまりウケなかった」

 ふゆみに慰めてもらいたくて言ったのだが、

「当たり前でしょ?」

 と言われてしまった。

「そうかなあ。結構、おもしろいと思ったんだけどなあ、このアイデア。速水、今のは何点だった?」

 と、向かいの速水に採点を頼めば、

「0点です。僕は、悪ふざけは嫌いですから」

 だそうだ。しかし、俺がしょげていたら、

「但し、ラブゲーム自体は見事でした。満点で合格です!」

 と言ってくれ、速水にしては、あまり見た事のない優しい笑顔を、俺に向けた。

「サンキュー」

 ふと、ある事を思い付き、「ふゆみ」と言って彼女を向いたら、俺の髪に手を伸ばしていたふゆみの顔と急接近し、あやうくチューしそうになった。

「な、なに?」

 チューしたい。じゃなくて……

「この流れでさ、アレをみんなに言わないか?」

「今?」

「今」

「いいわよ。恥ずかしいけど」

 という事で、みんなにもうひとつ報告すべく、俺は岡野に向かい、高らかに手を挙げた。