すると、広告の相沢が、

「あたしも聞きたいでーす」

 と言い、総務の佐藤が、

「オレもー」

 と言った。そうこなくっちゃな!

 そう。今日は正に、ラブゲームの期限なのだ。

「仕方ないわね。じゃあ、三浦裕一郎、どうぞ」

 呼び捨てかよ、とムッとしつつも、俺はやおら立ち上がると、イガグリ頭を撫でた。つまり……丸坊主の頭を。

「えっと、俺はこちらの桜井ふゆみさんに、猛烈なアタックを仕掛けました。ありとあらゆる手段を使い、彼女を落とそうとしました。

 時には豪華なレストランでディナーをご馳走し、シックなバーでカクテルを奢り、クリスマスには可愛い縫いぐるみを贈り、壁ドンなんかもしました」

 俺は自己陶酔し、ある事ない事が、次々と口を突いて出てきた。

 川田たち3人は、俺に真剣な目を向け、"うんうん"と、頷いたりなんかしていた。

「しかし、難攻不落な桜井女史を落とす事は、流石の俺でも敵いませんでした。

 なーんちゃって!」

 俺は両手で自分の頭を挟さんで持ち、スポッて感じで上に外した。丸坊主の、カツラを。そして、

「今のはウソでーす。俺はふゆみを、落としました!」

 と言い、右手でピースをした。左手には気色悪いカツラを持ちながら。