神徳が去り、これで一件落着、と思ったのだが……

「ふゆみちゃん、どうして嘘をついたの? ふゆみちゃんは、直也さんを愛してるとばかり思ってたのよ?」

「そうだぞ、ふゆみ。好きでもない男と結婚するなんて、僕はがっかりだよ」

 まさかの説教が始まった。だから、それはピンチの桜井グループを救うためなわけで、この二人は神徳の話を聞いてなかったのだろうか?

 なんなら俺が説明してやろうか、と思ったのだが、

「このままじゃ、桜井の家は破綻すると思ったから……」

 ふゆみが、蚊の鳴くような声で言った。

 さすがに両親も、今ので解っただろうと思ったが、

「だからって、どうしてふゆみちゃんが犠牲にならないといけないの?」

「そうだぞ、ふゆみ。三人で頑張ればいいじゃないか」

 いや、それじゃ無理だと思ったから、ふゆみは自分を犠牲にしようとしたわけで……

「だって、私がお父様やお母様の恩に報いるには、それぐらいしか方法が見つからなくて……」

 え?

 それって、どういう……