「ごめんなさい」

 上原は、速攻で俺に頭を下げた。ペコッて感じで。という事は、速水と話してないらしい。

 速水は取っつきにくいからなあ、と思ったのだが……

「三浦くんに報告するような収穫は、なかったんだ」

 と、上原は言った。

「え? じゃあ、速水と話したのか?」

「うん。3日ぐらい前、香純ちゃんと一緒にね」

 そうなんだ。大した行動力だなあ。

「でもね、予想通りだけど、彼、口を割らなかった」

 おいおい。穏やかじゃないなあ。

「と言うと?」

「何も深い考えはないって。ただの遊びだって、言ってた」

「そのまんまなんじゃ?」

「それはない」

 即答かよ?

「なんで?」

「この前も言ったじゃん。速水くんのキャラじゃ有り得ないって」

「それは聞いたけどさ、たまたま思いついたとかって、あるだろ?」

「三浦くんは甘いよ。チョコパフェより甘い」

 こいつ、よっぽどチョコパフェが好きなんだな。

「理屈に合わない事があったとするじゃん。それを偶然で済ませたり、自分に都合よく解釈したりって危険だよ。そういう時は、必ずウラがある。そう考えないと、真実を見誤るよ」

 うっ。上原のキャラが分からなくなった。

「真実は、いつもひとつ!」

「わ、わかったよ。俺も考えるから、上原たちも頑張ってくれ。じゃっ」

「はい、お任せください!」

 上原は俺に敬礼し、去って行った。
 あの子を好きになったら楽と思ったのは取り消し。逆に疲れると思う。

 それはそうと、速水については本当に考えるべきかもしれないな……