どのくらいそうしていただろうか。
砂利を踏むかすかな音に、はっとして顔を上げたのと、その音の主が声を発したのが同時だった。
「皇女———」
白い直衣をまとったそのひとが、こちらを見つめている。
「白の宮様・・・」
あわてて立ち上がる。
あれこれ面倒をかけて都への外出を許されて。ここへ来たことが知れてしまったら。
珀斗がゆっくり近づいてくる。いつも涼しげなその表情に、戸惑いの色を浮かべて。
「———なぜ、皇女がここへ?」
純粋な疑問の言葉だった。
「お許しください。詮索するつもりはありませんでした」
あぁ、と珀斗が思い至った様子でつぶやく。
「皇女には、視えるのですか」
「わたしがというより、わたしの番の枢がですが・・・
白の宮様のお心にある場所が、映ったことがありました」
砂利を踏むかすかな音に、はっとして顔を上げたのと、その音の主が声を発したのが同時だった。
「皇女———」
白い直衣をまとったそのひとが、こちらを見つめている。
「白の宮様・・・」
あわてて立ち上がる。
あれこれ面倒をかけて都への外出を許されて。ここへ来たことが知れてしまったら。
珀斗がゆっくり近づいてくる。いつも涼しげなその表情に、戸惑いの色を浮かべて。
「———なぜ、皇女がここへ?」
純粋な疑問の言葉だった。
「お許しください。詮索するつもりはありませんでした」
あぁ、と珀斗が思い至った様子でつぶやく。
「皇女には、視えるのですか」
「わたしがというより、わたしの番の枢がですが・・・
白の宮様のお心にある場所が、映ったことがありました」



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)