籠のなかの小鳥は

姫様———?


顔をうつむかせ、もの思いに沈む小鳥に、小少将が声をかける。


「・・・行きたいところが、あるのです」
意を決して、顔をあげる。


その場所を告げると、意外すぎたのだろう。二人とも考えあぐねる表情を浮かべる。


「姫様、そちらは・・・」


「わたしにも、無縁の場所ではないと思い・・・わがままは、承知です」

思いつめたような小鳥の表情に、なにか感じるところでもあったのだろう。

かしこまりました、とうなづいた小少将が、車副(くるまぞい)の者に行き先を告げた。