御簾ごしに、表を透かし見る。
見慣れたアスファルトの道路は、そこにない。
道幅はひろく、石畳で舗装されている。振れぐあいからすると、すき間なく均一に並べられているようだ。
大内裏からさほど離れていない、都の中心地だからだろうか。
家並みも、行き交う人も、みな清潔で目にうつくしく映る。
土地の一区画が大きい。背の高い建物が見当たらないので、女房に問うてみる。
すまし顔で、「二階屋などに住まうのは、下様の者なのです」と返ってくる。
二段ベッドと同じで、スペースに余裕がない=貧乏人という理屈になるようだ。
「特別に高く建てる、といえば天帝を奉る塔でございますね。
少しでも天の高みに近づくために」
そうか、だから———・・・
見慣れたアスファルトの道路は、そこにない。
道幅はひろく、石畳で舗装されている。振れぐあいからすると、すき間なく均一に並べられているようだ。
大内裏からさほど離れていない、都の中心地だからだろうか。
家並みも、行き交う人も、みな清潔で目にうつくしく映る。
土地の一区画が大きい。背の高い建物が見当たらないので、女房に問うてみる。
すまし顔で、「二階屋などに住まうのは、下様の者なのです」と返ってくる。
二段ベッドと同じで、スペースに余裕がない=貧乏人という理屈になるようだ。
「特別に高く建てる、といえば天帝を奉る塔でございますね。
少しでも天の高みに近づくために」
そうか、だから———・・・



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)