籠のなかの小鳥は

少し前のこと———

口の悪い蘇芳が平然と、
「こいつは朴念仁でな。女も自分の添いたい相手を自分で選ぶから、お前には興味がないんだと」
と昴の前で言い放ち、あわや一触即発の状態になってしまった。


昴が無言で立ち上がり、自分の内から玄武を放つ。
黒銀の剛い毛におおわれた、巨大な番(つがい)。

姿は、犬に似ている。先が折れた耳とつややかな黒い目が、厳めしさのなかに柔らかな印象を与える。
太い脚の先には、蹄の太さとかぎ爪の鋭さを備えた、研がれた角質。

そうして、背には蝙蝠類を思わせる飛膜の翼。


蘇芳が応えて、朱雀が彼の内からあらわれる。
朱金の羽を全身にまとう、壮麗な鳥の姿。

孔雀を思わせる翼だけでなく、四足と長い趾をもち、くちばしは鋭利だ。