籠のなかの小鳥は

彼は、二歳にならないうちに、その名を告げた。
「青龍」と。


さかのぼること三年のあいだ。玉響の宮の託宣通り、白虎、朱雀、玄武を番にもつ皇子が誕生していた。
青波こそが最後の一人であることに、疑いをはさむものはいなかった。

臣籍に生まれたとはいえ、ふた親はともに皇族の出自。
そうして二歳の砌に、青波はひとり先帝の猶子というかたちで皇籍に名を連ね、青の宮様と呼びならわされる身となった。


なにごとにも序列をつけたがるのが、人の常。
臣下の出ということで、青波を他の三人より出自が軽いとみる者もいるようだ。


「これが並の貴族の公達であられたら、この上ないお方でいらしたのに。
姿形のお美しさはもちろん、抜きんでた雅才をお持ちで、書も画もあのお年とは思えないほど。
それにあの龍笛(横笛)のすばらしさといったら。
なびかない女性などいないと思われるほどでございます」