“深窓の姫君” の言葉どおり、高貴な姫様はめったなことで外出しない。
厳重に邸の奥深くに仕舞い込まれるようにして暮らしている。
宮中にあっても同じことで、外に出るのは実家に下がるときぐらい。それでさえ自由にとはいかない。
そうして小鳥には、帰る実家などない。
「こうして幾重にも塀と人に護られて暮らしているだけでは、まるで———」
籠のなかの鳥だ。
生まれも育ちも籠のなかならば、それで不満はないだろうが、自分は知っている。
その外に、決して恵まれているだけではない世界があるだろうということを。
蘇芳が吐息をひとつ吐く。
「ならば、いずれ朱雀に乗せてやろうか」
厳重に邸の奥深くに仕舞い込まれるようにして暮らしている。
宮中にあっても同じことで、外に出るのは実家に下がるときぐらい。それでさえ自由にとはいかない。
そうして小鳥には、帰る実家などない。
「こうして幾重にも塀と人に護られて暮らしているだけでは、まるで———」
籠のなかの鳥だ。
生まれも育ちも籠のなかならば、それで不満はないだろうが、自分は知っている。
その外に、決して恵まれているだけではない世界があるだろうということを。
蘇芳が吐息をひとつ吐く。
「ならば、いずれ朱雀に乗せてやろうか」



![he said , she said[完結編]](https://www.no-ichigo.jp/img/book-cover/1737557-thumb.jpg?t=20250401005900)